むげふぁんPL非公式コンベンション


 この日は、当ブログでも告知したむげふぁんPLによる非公式コンベンションでした。
 ……が、遅刻しました。GMなのに。申し訳ありませんでした。
 GM自体はやらせてもらえたので、一言謝って自己紹介とシステムの紹介。
 システムは予告通り、「Aの魔法陣」(以下「Aマホ」)です。


 Aマホは非常に特殊なシステムなので、紹介にも気を遣いました。他のゲームと違うことができること、向き不向きがあることを上手に説明しなくてはなりません。以下、当日のシステム紹介をほぼそのまま載せたいと思います。


 このAマホは、非常に特殊なシステムです。なにしろ、技能や能力値といった概念がありません。その代わり、「自分はこんなこともできるのか!」と想像力のわくままに行動できるという点では、トップクラスの性能を誇っています。
 たとえば、「鳥人間コンテストで優勝する」「ボブスレージャマイカ代表になってオリンピックに出場する」「ユリシア様の怒りを鎮める」「ピーカン霊査士に料理を作るのをやめさせる」ということも無理なくゲームにできます。
 シミュレーションゲームのように、駒をどう動かすかとか、細かい数値計算をTRPGでやりたい人にはこのゲームは全く向いていません。
 しかし、「想像力のわくままに行動したい」「今までにないTRPGを遊びたい」という人には、胸を張ってお勧めできます。


 ……結果、予想外に会場が爆笑の渦に包まれました。鳥人間コンテストボブスレーは正直やりすぎたと反省。*1
 ちなみに他に立候補していたのは、「デモンパラサイト」「アルシャード」「ダブルクロス」といった旬のシステムや、懐かしい「クリスタニア」、同人RPG「ファイアーエムブレム」。
 正直私の卓は不成立になると覚悟していましたが、なんと4人ものプレイヤーが参加して下さいました。そして、セッション開始です。


「我はM*より始まるゲームの目的を記述する*2……『ユリシア様の怒りを鎮めて生き延びよ』」


 正直スマンカッタ orz


「ある事件により、ユリシア様は大変にお怒りです。そして皆さんもその事件に関与しているのではないか……と疑われています。何とか申し開きして切り抜けて下さい」
 何とかユリシア様の怒りを一時的に鎮めることができましたが、新たな試練が。
「口ではなんとでも言えるでしょう。あなた達も冒険者なら、身の証を立ててもらいましょう。……そうですね、今度開かれる鳥人間コンテストボブスレー大会で優勝して下さい」
 なんでこれが無実の証明になるんだか。でもユリシア様の命令は絶対です。*3


 ボブスレー大会では練習場所を探し、コーチを雇い、巻き込まれた温泉客のふりをして敵情を偵察したり(ヲイ)、競技で失敗して大ピンチになったところを「これは他チームの妨害です!」と言って切り抜けたり。
 鳥人間コンテストでは技術者を雇い、過去の優勝チームのデータを分析し、優勝候補チームの妨害をし(マテ)、最後は高く高く飛んでいきました。
 かくして爆笑のうちにセッションは終了。無事にユリシア様の怒りを鎮めることができました。


 実は、SDが準備したのはオープニングの状況だけです。後はPLが「どうしたいか?」を宣言し、SDが「それがどのくらい難しいか」を答え、PLが成功要素を出すことによって、物語は自然にできていきます。
 セッション中に起こったことは、ほぼ全てPLの希望に基づいて行われた行動とその結果です。SDから誘導したわけではないし、またその必要もありませんでした。Aマホは、他のゲームのようにアドリブだけで進めたら全く面白くなくなったり、想定外のことが起きたらセッションが進まなくったり、GMに過大な負荷がかかることはありません。


 時間が余ったし*4、あまりにネタに走りすぎたので、口直しに「トロウルの偵察部隊を追撃し捕捉、殲滅せよ」という即席のセッションも行いました。SDが提示した難易度は極めて高く、PLで相談しながらの悪戦苦闘です。
 手持ちのアビリティその他の成功要素ではとても足りません。近隣の護衛士の手を借りたり、そこには知り合いが多いという状況を利用したり、地形や天候を活用したりであるいは難易度を下げ、あるいは成功要素を稼いで、なんとか成功までこぎ着けました。
 Aマホはこういう真面目なセッションもできるとしておかないと、多大な誤解を招きそうですからね(汗)。SDのGさん、ありがとうございました。


 セッションに参加して下さったGさん、Yさん、Iさん、Mさん、主催のジークさんとラージスさん、飲み会で一緒に話して下さった皆さん、ありがとうございました。
 今後遅刻などないようにいたしますので、次の機会がありましたらよろしくお願いします。


 ここからはシステムの解説ですので、興味のない方は読み飛ばして下さい。
 まずはSDがゲームの目的を語ります。TRPGの目的はいろいろありますが、つまるところは「よい物語を作る」ということでおおむね賛同が得られると思います。しかしたいがいのTRPGでは、具体的にどうするのかはあまり触れられていません。そこでAマホでは、ゲームごとに明確にするようにしてあります。
 セッションが始まると、SD*5がプレイヤーキャラ達の置かれた状況を語ります。
 そしてこれに対応して、PLが行動宣言をします。Aマホでは「成功要素」と呼ばれるデータで行動の成否を決めます。これはキャラクターの設定をデータにしたもので、性格、外見、持ち物などを全てこの概念で一元管理しています。
 これによって、他のゲームでは単なるダイスロールや数値計算で終わりかねないところを、もっと抒情的に描写を交えながら描くことができます。しかも、演技力や詩的な表現は必ずしも必要ありません。「なぜこの成功要素がこの状況に役立つのか」を述べるだけでいいのです。
 SDは出された成功要素と状況を照らし合わせて、どの程度成功したかを判断します。


 余談になりますが、私は「Aの魔法陣」が大好きです。
 確かに他のゲームではできる、苦手なこともたくさんあります。たとえばアイテムや経験値を稼いだり、技能のコンボに凝る、などです。しかしそうしたゲームならもうすでにたくさんあります。
 またSD・PLともにセッション中は「常に」頭を使うので、疲れます。とても疲れます(笑)。
 それでも私がAマホを好きなのは、既存のゲームではなかなかできなかったことが、いとも簡単にでき、そしてそれが楽しいからです。
 準備にほとんど手間がかからないこと、予想外のことが起きても柔軟に処理できること、そして何より、想像力のわくままに行動できる喜び……。
 次にこうした機会があったら、またAマホで参加するかも知れません。そのときはネタでなく、もっと真面目なゲームをしようと思いますので、よかったら遊んでやって下さい。

*1:イベントシナリオや「やや易」依頼のような、戦闘に関係しない楽しみ方ができます、とでもしとくんでした

*2:これがAマホでのセッション開始宣言であり、同時にゲームの目的を述べることでもあります

*3:どこの岩本虎眼先生なんだか。すみません、分かる人だけ笑って下さい

*4:Aマホは1セッションにあまり時間がかからないのも利点

*5:セッションデザイナーの略。AマホではGMをこう呼びます