回想


 仮プレイング置き場と化していた近頃の日記ですが、久しぶりにまともに書きたいと思います。


 去年の今頃は……忘れ得ぬ、第二次エルヴォーグ制圧戦。中央砦で、命がけの陽動作戦に従事していました。
 私はあの時、小さな班【蒼燕】を結成して戦いに臨みました。誰もが必至に、圧倒的なノスフェラトゥの大軍と戦っていました。私も力の限り戦いましたが、重傷を負ってしまいました。
 敵軍を支えきれずに後退するとき、班員の一人が自らを盾にして私達を逃がしてくれたんです。
 その背中を、言葉を、あの時感じた悲しみと悔しさ、申し訳ない気持ちを、私は今でも忘れることができません。
 私は彼に命をもらったのだと、そう思いました。そして、その思いと命を大切にしながら、一人でも多くの人を悲しみや苦しみから守っていこう、そう決めたんです。


 そして1ヶ月前は、神との戦いでした。
 私は大神ザウスの乗る空中要塞レアに突入して、ザウス神と戦い空中要塞を止めるための作戦旅団に入っていました。
 生きて帰れる可能性は半分もないと言われていました。しかし私は志願しました。考えるより先に、入団届けを出していました。
 入団が認められてから、幾度も団長に覚悟を問われました。私もこれでよかったのかと何度も何度も心の中で自問自答しました。怖くないって言ったら嘘になりますから。
 しかし、私は最後まで戦い抜く決意を固めました。
 それは、大切な人達を、懸命に生きる命を守りたかったからです。


 激しい戦いの末、私達はザウス神を倒し、空中要塞を止めて大陸の破壊を防ぐことができました。しかしその中で53人もの仲間が、帰らぬ人となってしまいました。
 私が入った班からも、3人の戦死者が出ました。


 誰も欠けずに帰ってくることなど、できないとわかっていた。
 でも誰も欠けて欲しくないと願わずにはいられなかった。
 そしてたくさんの仲間が帰らぬ人となり、私は生きている。生死を分けたのは紙一重でしかありません。
 また、人から命をもらってしまいました。


 そのことを、私はずっと忘れないで生きていきます。
 それが私にできるたった一つのことですから。


 フレイハルトでは不審者の正体が奴隷商人とわかり、いよいよ本格的な相手の攻撃が始まりそうな気配です。
 星凛祭で大切な人と楽しい時間を過ごすことができたのも束の間、カダスフィアフォート跡に現れた謎の物体や楓華列島の天子様からの退去勧告など、私達を取り巻く状況は厳しさを増しています。
 でも諦めてはそれで終わり。何より、命がけで私達の世界を守った人達に顔を合わせられません。
 これからも力を尽くします。一人でも多くの人を、悲しみや苦しみから守るために。